(……とは言っても、やっぱり、まだぜんぜん実感がないや……)
メッセージのやりとりはしてたけど、会うのは、卒業式の日以来なの。
奏太くんは、卒業式の日に東京に引っ越してしまったから。
……だから、「東京で待ち合わせよう」って話になったのに。
(なんで……なんでうちの駅にいるの……っ!?)
ドキドキはずむ心臓をおさえながら、そっと、うしろをふりかえる。
彼は、まだわたしに気づいていないみたい。
街路樹にもたれかかって、ぼんやりと空を見上げてる。
そんな、なにげない横顔も絵になってしまうくらい、かっこいい。
……なんで、あんなにかっこいいんだろう。
(それにくらべて、わたしなんて……)
モヤッとわきあがる後ろ向きな気持ち。
いっそ逃げだしてしまいたい衝動が、すこしだけ胸にわきあがる。
(でも……!)
くちびるを、ギュッとかみしめる。
さっきから緊張で心臓が痛いし、自信も勇気もぜんぜんない。
だけど……。
彼を見た瞬間から、気持ちが止まらないんだ。
こっちを見てほしい。
おしゃべりしたい。
どんな顔で笑ってくれるかな?
おしゃれしたの、気づいてくれるかな?
ぜんぶぜんぶ、会わなきゃ、かなわない。
立ち止まっていても、なにもはじまらない。
(………よし!)
わたしは意を決して、歩きだした。
大好きなあの曲が頭にひびく。
わたしを、前へ、前へと連れて行ってくれる、あのメロディー。
どきん、どきん
鼓動がぐんぐんスピードをあげる。
彼の姿が、どんどん近くなる。
あと2メートル……1メートル……!
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こんにちは。秋元水香です。わたしは時間割男子の大ファンです!次の巻も楽しみにしていますが、お体にも気をつけてください。応援しています!