※「ソライロ♪プロジェクト」本編のネタバレが含まれる可能性があります。発売されている1~6巻を読んでいない方は、ご注意ください。
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【登場人物】
川田 リリア(かわだ りりあ)
主人公・一歌の友だち。小学校を卒業したばかり。
気が強くハッキリものを言う性格で、クラスの中心的存在。
川田リリアの初恋
――それは、卒業式から数日経った、ある朝のことだった。
「あっ、ねぇ、ちょっとちょっと!」
駅前でいきなり、アタシ――川田リリアを呼び止めたのは、背の高い男子。
同い年くらいかな。
好みじゃないけど、わりとイケメンっぽい。
ただ、こないだ卒業した小学校では、一度も見かけたことのない顔だ。
(……もしかしてナンパ?)
スッと身がまえつつ、首をひねる。
……いや、でも、そんなタイプには見えないな。
フワフワしたくせっ毛に、いかにも人の良さそうな顔。
まぁ、でも。
人は見かけで判断できないって言うし、油断は禁物だ。
(ヘンなこと言ったら、さけんで警察に駆けこんでやろ)
そう決めて、ぐっとあごをあげる。
「なに?」
短く返事をして、ジロリとにらんでやった。
この顔で、クラスのだいたいの男子はビビって逃げる。
――はず、なんだけど。
相手はアタシの顔が見えてないのか、なんなのか、ヘラヘラと気のぬけた笑顔で口を開いた。
「あのさ、もしかしてリリちゃんじゃない?」
「は?」
「リリちゃんだよね? おれ、おぼえてない?」
「…………」
なんなの、コイツ。
(覚えてない? って言われてもな……)
相手の顔をじっと見つめながら、一応、記憶をたどる。
とりあえず、最近会った相手ではないよね。
さすがに会話をしたんなら、忘れるはずないし。
でも……。
なんだろ。
なんとなく、なつかしい感じがする……?
「たのむ、思い出してよ! おれ、水戸冬馬! 幼稚園でいっしょだったろ?」
幼稚園――?
その言葉を聞いた瞬間、パチンと記憶がつながった。
「…………トト、くん?」
「そう! よかった、思い出してくれて!」
ぱあっと、花が咲くみたいな笑顔。
その笑顔に、八年前の「あの子」が重なった。
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