「えっ……でも、待って。ちょっとまだ信じらんない。だって、トトくんって、もっと……」
「あ、気づいた? ちょっとやせたんだ~」
いや、ちょっとじゃないじゃん。
心の中でツッコミをいれる。
トトくんといえば、ふっくら、モチモチのほっぺがトレードマーク。
笑顔のやさしい、シロクマみたいな子だった。
ほかの男の子たちが大声だしたり、暴れたりしてても、トトくんだけは、マイペース。
いつも同じ場所にのんびりと座って、お絵かきしてたっけ。
アタシは、そのとなりで一緒にお絵かきするのが、好きだった。
ふとよみがえった記憶に、胸の奥がチクンとちいさくうずく。
(あれから……もう、七年か)
「……変わったね」
アタシは、ぽつりと言った。
「まーね! ダイエットがんばったしね~」
うれしそうに言う彼を見て、実感する。
おとなしくてモチモチのトトくんは、もうどこにもいないんだ、って。
目の前にいるのは、すっかりやせて、背も伸びた「水戸冬馬」。
さわやかに、笑ったりなんかしちゃってさ。
……しゃべりかたとか、ぜんぜん、そんなんじゃなかったじゃん。
「……見た目もだけど、性格も、変わったよ」
「性格? ん~、変わったかな? 幼稚園のころのおれって、どんなだった?」
ポリポリと、くせっ毛頭をかく、水戸冬馬。
なんとなくおもしろくなくて、アタシは下をむく。
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