【ウェブ小説】はじめてのまちあわせ。【後編】(一歌視点)

ec_sorapuro1 ウェブ小説

「さ……しょ、奏太くんっ!」

(…………)

 ……わ~っ!
 噛んじゃった!

 ガバッと両手で顔をおおう。

(つい今までのクセで、「冴木くん」って呼びそうになっちゃったせいだよ……!)

 卒業式の日から、メッセージのなかでは、わたしは「奏太くん」って呼んで、彼は「一歌」って呼んでくれてるけど。
 実際に顔を見てそう呼んだことは、卒業式のときの、一回だけだから……!

 ものすごくはずかしくて、顔を真っ赤にしてうつむいていると。

「……おはよ」

 彼はそっと首をかたむけて、わたしの顔をのぞきこんだ。

「ゴメン。待ちきれなくて、むかえにきちゃった。びっくりしたよね」

 ちょっぴり眠たそうな目と、フッとちいさくほほえむ口元。

 きゅーんと、胸がしめつけられる。

 泣きたいくらいのはずかしさと変な緊張は、一瞬でどこかへふきとんで。
 かわりに、胸のなかがキラキラした光で満たされていく。

「う、ううん! は、はやく会えて、うれしい……です」
「ホント?」
「ほ、ほんと!」

 こくこくうなずくわたし。
 奏太くんは、「よかった」と、ホッとしたように笑う。

(わぁ。奏太くんだ……)

 たった一週間会えなかっただけなのに、まるで憧れの芸能人に会えたみたいに、気持ちが浮き立つ。
 すぐ目の前にいる彼の姿が、声が、なつかしくて。

 夢みたい。

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